インターンシップなどに参加するため、他の活動を諦める学生に出会うことがある。しかし、それが就職活動を意識しての選択ならば、今一度よく考えて欲しいと思う。大学での4年間というのは、大抵の人にとって最後の学生生活になる。やり残したと後悔することはないだろうか。仕事をするのにおいて、焼き付けの社会体験が大きく役に立つとは思えない。むしろ、自分の好きなことに熱中してきた人の方が、その人ならではの発想を持っているように思う。ソニー銀行で執行役員を務めていらっしゃる松下さんの場合もそうだった。
「野球部を作ったんですよ。そもそも社内サークルというものがなかったので、まず規定を作って、ユニフォームを作って。というのも、部署の枠を越えた人と人の関わりがあまり無かったんですね。それって仕事をする上で結構大切で。そのときのソニー銀行には、そういうチームワークが必要なように感じたんです。じゃあ作ろうと。」 どこでどの経験が生きるかなんて、未来の読めないわたしたちには分からない。野球部を作るのは、大学まで白球を追い続けた松下さんの案だ。他の人ならば違う提案をしただろう。経験が画一化してしまうほうが、企業にとってはマイナスじゃないだろうか。
せっかくの学生生活を、就活中心にすごすのはあまりにもったいない。そのときに一番したいと思ったこと、しそびれたら後悔すると思ったことを、全力でやるのがいいと思う。社会に出てもその経験が、助けてくれるんじゃないだろうか。
慶應大学 籾山あやの